不動産投資のリフォーム費用はどれくらい？メリット・デメリットや注意点も解説

不動産投資家は中古物件を居住用ではなく投資用物件として購入し、入居希望者のニーズに対応したデザインや仕様に変更することで安定した賃貸経営を実現しています。
そのためにはリフォームやリノベーションが必須となりますが、リフォーム費用が高額になると利回りが悪化し収益化する時期が遅れてしまいます。
このようなリスクを避け収益性を高めるためにも、不動産投資物件にかける費用は抑えるべきといえるでしょう。
この記事では投資を目的とした物件を購入した上で、なるべく工事費用をコストダウンできる方法について解説します。
各設備のリフォームに必要な価格の目安についても紹介しますので、中古マンションや中古戸建をこれから購入し投資を始める人は参考にしてください。

リフォームとリノベーションの違いとは

そもそもリフォームとリノベーションは工事の規模や目的、費用が大きく異なります。
そのため投資物件の状態によってリフォームなのかリノベーションなのかを選択する必要があるため、それぞれの違いはおおまかに把握しておきましょう。
この章では二つの違いについて、解説します。

リフォームは老朽化した箇所を改修し、新築に近い状態に近づけること

築年数の古い不動産は経年劣化によって設備が劣化したり破損するようになり、水回りや給湯器などの生活にかかせない設備が故障してしまうと入居者が快適に暮らすことができなくなってしまいます。
そこで購入した物件をリフォームすることで老朽化した箇所をリペアすることで、快適な住環境を維持することができます。
このようにリフォームは老朽化した建物を修繕し、新築物件に近い状態にまで改良する工事といえるでしょう。

リノベーションは既存の建築物に改修を加え、価値を高めること

「リノベ」と呼ばれることもあるリノベーションは、収益物件の印象を大きく変化させることができます。
リフォームは生活に支障がでる可能性のある箇所を改善するのに対し、リノベーションは建物全体を改修工事し付加価値を高めることを目的としています。
つまりリノベーションにはリフォームも工事内容として含まれているといえ、工事の規模や金額がリフォームとは大きく異なることが分かります。
そのため不動産投資家は投資用物件に対してリフォームとリノベーションのどちらを実施すべきか迷うことになり、予算とのバランスをリフォーム会社に相談するケースも多いです。

リフォームの相場

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が公開しているデータによると、リフォーム費用の予算平均は265.2万円であったのに対し、実際にかかった費用は390.4万円となったそうです。
このような予算オーバーを避けるためにも、どのくらいの費用がかかるのかをある程度把握しておくことが大切といえます。
また、リフォーム費用に充当するための資金を調達するためにリフォームローンを組んだり自己資金で対応することになりますが、そのためにもどの設備をいくらで修繕するのかを知っておくことが重要でしょう。
この章では各設備をリフォームした場合の費用相場を紹介しますので、修繕費をイメージするためにもチェックしましょう。

水回りリフォームの費用相場

水回りとは一般的にキッチン、浴室、トイレ、洗面台のことを指しており、リフォーム費用の相場は次のようになります。

キッチン：70～100万円
バスルーム：70～120万円
洗面所：約20万円
トイレ：約20万円（1箇所につき）

このことからも、水回りを全てリフォームする場合は最低でも180万円程度の予算は確保すべきであり、採用する仕様やトイレの個数によっては300万円近くになることもあるでしょう。

内装リフォームの費用相場

内装リフォームは壁紙やフローリングを変更する工事内容が該当し、壁紙変更は1.2万円/㎡、フローリング変更は1.5万円/㎡が相場です。
また、内装リフォームには上記以外にも部屋を増やしたり1室を2室にする工事もありますが、6畳程度の部屋を増やす場合は1箇所につき20〜30万円を予算に組み込んでおく必要があります。

外装リフォームの費用相場

たとえば木造2階建ての住宅を外装リフォームする場合、塗装であれば100〜120万円が相場ですが外壁自体を張替えする場合は200万円を超えるケースもあります。
また屋根の塗装やベランダの漏水処理などを踏まえると想定外のリフォーム費用になる可能性もあるため、外装リフォームを検討する場合はなるべく早い段階でリフォーム業者に見積もりを依頼しましょう。

断熱リフォームの費用相場

断熱性能を高めるための断熱リフォームは、どのレベルの高断熱住宅にするのかで工事内容が変わり、費用も大きく変動します。
たとえば床断熱や壁断熱だけの場合はそれぞれ100〜150万円程度となりますが、窓を複層ガラスに変更した場合はさらに100万円ほど費用が増えてしまいます。
これに天井断熱などを加えた場合、家全体を断熱リフォームした場合は250〜300万円近くの予算を確保する必要があるでしょう。

リフォームを安くする方法

前述したように、リフォームは規模と選択する設備によって高額になる傾向があります。
しかしリフォーム費用が増えることは初期費用が増えることになり、せっかく安い空き家を購入できても利回りが悪化してしまいます。
そのため不動産投資を実施するのであれば、できるだけリフォーム費用を抑える方法を知っておくことが大切です。
この章ではリフォーム費用を抑えるおすすめの方法を紹介します。

DIYをする

一番費用を抑えられるのがDIYであり、業者に依頼せず自分で修繕するため大きなコストダウンを期待することができます。
最近のホームセンターではDIYグッズも豊富に取り揃えており、月に1回程度のペースでDIY教室を開催している店も増えています。
またDIYの知識と技術を増やすことでリフォーム業者の見積もりを精査することにも繋がることから、不動産投資をする上では必ず検討しておきたい方法といえるでしょう。
ただし素人仕事のような内装や外装では入居者が決まりにくいため、仕上がりをキレイにする自信がない場合は避けるべき方法でもあります。

複数のリフォーム業者に見積もりを依頼する

リフォーム業者によっては同じ工事内容でも価格が安くなることがありますが、この理由としてリフォーム業者の見積もりは設備の本体価格が含まれているという点があり、多くの工事を実施している業者の方がロットで設備を頼めるからです。
またリフォーム工事の内容によって得意・不得意が業者で分かれることもあるため、必ずリフォームの見積もりは複数の会社に依頼し比較検討することがポイントです。
これ以外にも、相見積もりによって価格交渉が成功しやすくなるというメリットもあります。

業者の繁忙期を避ける

4月や9月といった人が移動する時期はリフォームの件数も増えるため、職人が少なくなる時期でもあります。
この時期は日雇いのアルバイトも集めにくいことから見積もり金額が高くなりやすく、さらに納期が長くなることも少なくありません。
このように、なるべく繁忙期を避けたタイミングで物件を購入するだけでもコストダウンできることがあります。

まとめ

不動産投資の多くは購入した物件に対してリフォームやリノベーションを実施することになるため、物件選定をするタイミングではリフォーム費用の相場を把握しておく必要があります。
こうすることで計画通りの家賃収入を得ることができ、将来高値で売却することが可能になります。
このように、不動産投資で成功するためには優良物件を購入するのと同じくらい、リフォームやリノベーションの特徴や違い、各設備の価格相場を理解することが大切といえるでしょう。

投稿者プロフィール

naruto: 1987年生まれ。高校卒業後に工場勤務し、21歳から不動産業界（賃貸）に足を踏み込みました。24歳のときからマンション、土地、一棟アパートの売買仲介に携わり、これまで決済した案件の総額は100億円を超えます。現在は妻と子、犬と一緒にのどかに暮らしています。