2024年10月に火災保険料が大幅値上げ!背景や値上げ率などを解説

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2024年は火災保険が大幅に見直しされることが決まっており、大手保険会社も対応に追われています。
この記事では火災保険が値上げとなる背景や値上げ率について、解説します。

火災保険料が値上げされる背景

そもそも火災保険料はこれまで3回値上がりしていますが、今回の値上げ幅が最大となっています。
こうした価格改定は損害保険会社でつくる損害保険料率算出機構が検討し発表していますが、今回の改定には次のような理由があります。

自然災害などによる保険金支払いの増加とリスク環境を踏まえた対応

近年、台風やゲリラ豪雨の影響によって多くの家屋が水害を受けるようになり、保険金の支払額は増加傾向にあります。
これにともない従来通りの火災保険料では保険会社が十分に補償できる資力を確保できなくなるというリスクが潜在的にあり、小さな保険会社では対応できなくなる可能性があります。
そして、地球温暖化など様々な要因によってこれからもこうした自然災害が発生する可能性が高いことから、水害に対する火災保険料を見直すことになりました。
なお、火災保険の契約は2022年まで最長10年だった保険期間が地震保険と同じ5年に短縮されたのも、保険料の資力確保が理由です。

水災料率における契約者間の保険料負担の公平化など

水災料率とは水災に応じて判別するリスクのことで、今回の改定で5段階に区分され評価されるようになりました。
なぜならエリアによって洪水の被害想定が異なるにも関わらず、現行ルールでは少しでもハザードにかかると全て一律の計算方式になってしまうからです。
そのため水害のリスクごとに細分化した「水災等地」によって保険料を算出し、現状に合わせた保険料となるように改定します。
なお、今住んでいるエリアの水災等地を調べたい場合は、損害保険料率算出機構が公開している水災等地検索がおすすめです。

火災保険料の値上げはいつ?

火災保険料の改定は2024年10月1日からとなっており、それに追随する保険会社も多いです。
2024年3月時点における損害保険各社の動向は次のようになっていますので、参考にしてください。

保険会社 改定時期
三井住友海上火災保険株式会社 2024年10月1日
損害保険ジャパン株式会社 2024年10月1日
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 2024年10月1日
東京海上日動火災保険株式会社 未確定
セコム損害保険株式会社 未確定
AIG損害保険株式会社 未確定

火災保険料はどれだけ値上げされる?

損害保険料率算出機構が2023年6月28日に発表した内容によると、全国平均で約13%値上げするそうで、値上げ幅は過去最大です。
この背景として前述した水害リスクの増加以外にも、物価上昇や人件費高騰も関連しているとのことです。
つまり、これから家を購入する人にとってはランニングコストのイメージが異なる可能性が高いといえ、注意が必要です。

都道府県/建物構造/水災等地別の改定率

前述したように水災等地によって火災保険料は変動することになりますが、これ以外にも都道府県や建物構造も大きく影響します。
そこで、この章では以下条件でシミュレーションした場合の火災保険料について参考純率を解説します。
〈条件〉

  • 地域:主要な都道府県、エリア
  • 建物評価額2,000万円
  • 家財評価額1,000万円
  • 築年数10年

M構造

M構造とはマンションのことで、災害に強い構造体であるものの水害に対しては避難が遅れやすいなどのデメリットもあることから、注意が必要です。
水災等地別の改定率は、次のようになります。

エリア 1等地 2等地 3等地 4等地 5等地
北海道 +6.4% +9.7% +13.2% +17.3% +21.7%
東京都 +4.3% +7.7% +11.5% +15.8% +20.2%
神奈川県 +6.2% +9.5% +13.3% +17.2% +21.8%
愛知県 +7.6% +11.0% +14.8% +19.1% +23.6%
京都府 +6.2% +9.6% +13.5% +17.9%
大阪府 +11.6% +14.7% +18.0% +21.9% +25.9%
兵庫県 +4.9% +8.4% +12.3% +16.6% +21.2%
広島県 +6.7% +10.1% +13.9% +17.9% +22.6%
福岡県 +13.3% +16.2% +19.5% +23.2% +27.0%

T構造

T構造とは耐火構造物のことで、耐火性だけでなく耐久性にも優れている建物という扱いになります。
M構造がマンションであるのに対しT構造は耐火性の高い戸建てが該当し、災害による損害が少ないことから火災保険料は非耐火構造よりも安くなる傾向にあります。
また、耐火構造物は主に次のような構造体であることが多いです。

  • RC造
  • 省令準耐火構造
  • 鉄骨造
  • 石造
  • レンガ造

T構造の水災等地別改定率は、次のようになります。

エリア 1等地 2等地 3等地 4等地 5等地
北海道 +5.4% +9.3% +13.8% +8.6% +23.9%
東京都 +5.2% +9.8% +14.9% +20.6% +26.8%
神奈川県 +6.2% +10.4% +15.0% +20.2% +25.8%
愛知県 +7.2% +11.5% +16.2% +21.5% +27.2%
京都府 +7.2% +11.6% +16.4% +21.8%
大阪府 +14.9% +18.6% +22.8% +27.5% +32.6%
兵庫県 +6.5% +10.9% +15.6% +21.0% +26.8%
広島県 +7.0% +11.3% +15.9% +21.1% +26.8%
福岡県 +15.6% +19.3% +23.2% +27.7% +32.6%

H構造

H構造とはM構造にもT構造にも分類されない建造物のことで、非耐火構造物とされています。
一般的な木造や蔵、城などが該当し他の構造よりも火災に弱い傾向にあります。
そのためH構造の家を購入する場合はランニングコストが高くなる可能性があるため、複数の保険会社に見積もりを依頼し比較検討するなどの工夫が必要です。
H構造の水災等地別改定率は、次のようになります。

エリア 1等地 2等地 3等地 4等地 5等地
北海道 +3.2% +7.2% +11.5% +16.3% +21.7%
東京都 -1.3% +3.0% +7.7% +13.1% +19.0%
神奈川県 +0.9% +4.8% +9.0% +13.8% +19.0%
愛知県 +1.9% +5.9% +10.3% +15.1% +20.6%
京都府 +1.1% +5.2% +9.7% +14.6%
大阪府 +11.4% +14.8% +18.5% +22.6% +27.1%
兵庫県 +1.1% +5.2% +9.6% +14.5% +20.0%
広島県 +1.5% +5.5% +9.9% +14.8% +20.2%
福岡県 +10.8% +14.1% +17.6% +21.6% +26.0%

まとめ

2024年10月から火災保険料が改定されるため、契約者は自分が加入している保険内容をしっかり確認する必要があります。
また、改定率は全国平均で約13%となりますが想定される風水被害のレベルによって引き上げ幅は異なることから、住んでいるエリアの水害等地は事前に調べておくべきです。
エリアと等級によっては改定後の保険料が値下げになるケースもあります。
さらに火災保険は家の耐火性と耐久性を重要視することから、構造が火災保険料の引き上げに大きく影響するといえます。
このように、火災保険の改定内容はエリアとハザードマップの影響、建物の構造をチェックすることで改定幅を事前に確認することができるといえます。

投稿者プロフィール

naruto
1987年生まれ。高校卒業後に工場勤務し、21歳から不動産業界(賃貸)に足を踏み込みました。24歳のときからマンション、土地、一棟アパートの売買仲介に携わり、これまで決済した案件の総額は100億円を超えます。現在は妻と子、犬と一緒にのどかに暮らしています。