不動産を投資を目的として購入し利益を得た場合は所得税や住民税などの支払いが必要となりますが、節税する方法があります。
そして、こうした対策は不動産投資をする上で重要になることから、法人であっても個人事業主であっても知っておくべき税金対策といえます。
この記事では不動産投資において節税効果の高い節税対策について解説します。
不動産投資でできる税金対策とは
不動産投資によって節税できる理由として、「赤字」や「経費」を不動産所得から差し引くことができるという点にあります。
また、必要経費の経費計上だけでなく建物や設備を耐用年数に応じて減価償却できるという点も重要で、個人が節税目的で物件を購入しやすい制度となっています。
つまり、不動産投資によって資産形成を目指すのであれば節税の仕組みを理解しておくことが大切といえます。
なお、節税できる税金は「所得税」と「住民税」、「贈与税」、「相続税」となっており、次章から詳しく解説します。
不動産投資で所得税と住民税を節税できる
所得税とは所得が課税対象となる税金のことで、住民税は所得税の金額に応じて納税する額が決まります。
これらの税金は不動産投資をしていないサラリーマンであっても給与所得から差し引かれており、目にすることも多いと思われます。
そして、不動産投資によって所得税と住民税を下げることができるため、必ずチェックすべきポイントです。
不動産投資における所得税と住民税
不動産投資における所得税は家賃収入や駐車場代といった収入から管理費や修繕費を差し引いた額が課税され、不動産所得と呼ばれています。
そして、不動産所得に合わせて住民税も算出されることから、まずは課税所得である不動産所得から把握することが重要です。
所得税・住民税が節税できるしくみ
不動産投資は青色申告特別控除を利用することができ、控除額は10万円、55万円、60万円のいずれかになります。
これにより納税額を下げることができることから、不動産投資は所得税額を節税できるとされています。
また、住民税は不動産収益が赤字になったり売却で損失した分を損益通算と繰り越し控除によって最大3年間節税できます。
このような仕組みによって、不動産投資を通じて税金対策をすることが可能です。
ただし、どちらの制度を利用する場合であっても確定申告が必要となるため、注意点といえます。
【参考サイト:No.2072 青色申告特別控除|国税庁】
不動産投資で贈与税を節税できる
不動産投資は所得税や住民税だけでなく、贈与税を節税することもできます。
この章で詳しく解説しますので、参考にしてください。
贈与税と不動産投資
贈与とは個人から財産を譲り受けることですが、現金で受け取るよりも土地や建物といった不動産で受け取る方が贈与税は安くなります。
こうした仕組みがあることから、マンション投資などを行い法人化した上で贈与するケースもあります。
贈与税が節税できるしくみ
贈与税を節税するのであれば、相続時精算課税制度を利用した不動産の贈与がおすすめです。
この方法は60歳以上の父母か祖父母が20歳以上の子どもや孫に贈与する際に適用される制度で、2,500万円を超えない範囲で贈与税を免税にすることができます。
この制度を使って免税となった贈与税は、将来相続税として加算されることになりますが、その場合の評価額は贈与した時点の価額です。
つまり、大きく不動産の価値が下落しない限り、相続時精算課税制度を使って贈与することのメリットが大きいといえます。
不動産投資で相続税を節税できる
2015年に相続税に関する法改正が公表され、結果的に増税となりました。
そのため、相続税を抑える方法として不動産投資を選択する人も多いです。
不動産投資と相続税
現金で相続するケースよりも、同じ評価額であれば不動産で相続する方が税金は安くなります。
なぜなら、相続税の算出に使われる評価額は建物が50%前後、土地が80%まで軽減されるからです。
このことからも、相続税を抑える方法として知っておくべき対策といえます。
相続税が節税できるしくみ
たとえば法定相続分に応じた取得金額が5,000万円だった場合、国税庁のHPによると次のように計算することができます。
(5,000万円-700万円)×30%=1,290万円
これに対し、建物3,000万円、土地2,000万円の評価額となる不動産を相続した場合、建物は1,500万円、土地は1,600万円まで評価額を下げることができます。
つまり評価額は3,100万円となり、相続税は以下の課税額まで軽減させることができます。
(3,100万円-200万円)×20%=580万円
このように節税効果が大きいことから、相続税が発生する現金を保有している場合は不動産投資によって税金対策することがポイントです。
不動産投資での節税の仕組みを詳しく解説
不動産投資によって節税する方法はいくつかあり、初期費用を抑えたり赤字を他の利益と相殺することで所得税を下げることが可能です。
この章では不動産投資における節税の仕組みを解説します。
減価償却
減価償却とは国税庁が設定している耐用年数まで設備や建物の取得費用を償却費として計上する方法です。
これにより購入した費用を継続して経費として扱うことができ、その結果大きな節税となります。
なお、耐用年数は償却資産の材質や構造によって異なるため、耐用年数表でチェックすることをおすすめします。
損益通算
損益通算とは不動産取得が赤字になった際に他の不動産取得や事業所得、譲渡所得、山林所得の黒字部分と相殺することができる節税方法で、これによって所得税と住民税を抑えることができます。
この方法をうまく活用することで投資が収益化するまでの課税額を下げることができ、手元に残る資金を増やすためにも利用すべき方法といえます。
また、損益通算は3年間利用することができ、2年目からは「繰越控除」と呼び名が変わるため注意が必要です。
不動産評価額の下げ方
税金を安くするためには評価額を下げる必要がありますが、相続によって評価額を圧縮する方法以外にも貸付事業用宅地の特例を利用することで200㎡までの土地を50%削減することが可能です。
これ以外にも評価額を下げる方法は国税庁から公開されていることから、税理士に相談しながら運用方法を決めることが重要です。
【参考サイト:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁】
法人化して節税する
個人で不動産投資を行った場合、不動産所得は最大55%となりますが法人にすることで約38%が最大税率となります。
このことからも、収益が安定した時点で法人化するのがおすすめです。
節税効果のシミュレーション手順
この章では節税効果を確認するための具体的な手順について解説します。
節税するためには確定申告をする必要がありますが、そのためには経費と収入を把握し、その上で所得を計算することがポイントです。
それぞれのステップで注意点があるので、この章で解説する内容を理解しておくことが大切です。
【参考サイト:国税庁 確定申告書作成コーナー】
経費の計算
賃貸業を継続するために必要となる支出項目を経費として計上することで、総収入から差し引くことが可能です。
また、一般的な経費は次のようになるため、事業開始前に把握しておくことをおすすめします。
・固定資産税、都市計画税
・修繕費
・保険料
・減価償却費
・物件購入を目的とした情報収集にかかる費用(インターネットの通信費やセミナー費用)
・物件購入を目的とした移動費
・税理士や会計士に支払う報酬
上記以外にもケースバイケースで経費に組み込むことができる項目があるため、税理士などに相談しながら進めるべきといえます。
不動産収入の計算
不動産収入は家賃収入以外にも頭金や名義変更料、敷金や保証料、共益費も含まれます。
ただし、どの項目も返還されない前提となり、特に敷金と保証料は契約内容によっては返還対象となるため注意が必要です。
不動産所得の計算
不動産所得は不動産収入から経費を指し引くことで計算できます。
不動産投資において所得税や住民税は不動産所得をベースに計算されることから、いかに所得を下げられるかがポイントになります。
なお、不動産収入が赤字になる場合は必ず損益通算し忘れず特例を利用することが大切です。
不動産投資での注意点
不動産投資はメリットが多いものの、デメリットや注意点もあります。
場合によっては想定した利益を得られず高いリスクを抱えることにもなりかねません。
そのような失敗をしないためにも、この章で注意点を詳しく解説します。
節税目的にだけ注意しないこと
不動産投資にかかる費用の多くは経費計上することができるため節税になりますが、最初に費用を支払うことには変わりません。
つまり、節税になっても資産が減ってしまうのであれば意味がないといえます。
このことからも、支出は費用な内容に留めておくことが重要です。
不動産投資にはリスクが伴う
どのような投資においてもリスクが伴い、長期的に見れば安定すると言われている不動産投資においても同様です。
また、収支が不安定な投資物件はなるべく早く手放すべきですが、売り時に迷ってしまうオーナーも多いです。
このようなリスクを回避するためにも動産会社やコンサルから常に最新情報を入手し、リスクヘッジの手段を把握しておくべきです。
確定申告をする必要がある
不動産投資は原則、確定申告が必須です。
そのため、毎年1月〜2月にかけて帳簿の整理に追われてしまうオーナーも多く、副業で不動産投資をしている場合は本業に支障がでてしまうこともあります。
そこで、税理士や会計士に帳簿の整理を依頼する方法もおすすめです。
この方法であれば確定申告のミスもなく手間もかからない上に、依頼料は経費に計上することができます。
このように、確定申告の精度を高め手間を減らす工夫は必要です。
まとめ
不動産投資節税目的で実施する人は多く、国税庁からも様々な節税方法が公開されています。
また、万が一赤字が発生しても所得税や住民税を減らすこともできることから、正しい知識を持って不動産投資を継続することが重要です。
投稿者プロフィール
- 1987年生まれ。高校卒業後に工場勤務し、21歳から不動産業界(賃貸)に足を踏み込みました。24歳のときからマンション、土地、一棟アパートの売買仲介に携わり、これまで決済した案件の総額は100億円を超えます。現在は妻と子、犬と一緒にのどかに暮らしています。
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